今さら自家現像に手を出してみた

あけましておめでとうございます。生きてます。

あれほどフィルムフィルムと言っておいて、自家現像すらやったことがない(厳密に言うと中学生の頃にダークレスは触ったことがあります)のは恥ずかしいということで、フィルムの自家現像をやってみました。

例によって、こういうことを(今さら)やってみましたというだけで殊更に役立つことは一切ありません。悪しからず。

初期投資と現像の話

ヤフオクで中古品を漁ってくるのが安上がりでしょうが、このご時世に新品が手に入ることに敬意を表して、新品で揃えてみました。参考程度に揃えたものを書いておきます。

用品系-専用品
  • 現像タンク(PATERSON製,PTP114,約7000円)
  • ダークバック(約3000円)

完全に現像でしか使えないのはここらへんでしょうか。

  • フィルムピッカー
  • フィルムクリップ

この2つは元から持っていた*1ものです。

上記を含め、全部新品だとすると合わせて12000円程度だと思います。

用品系-そのへんで手に入るもの
  • 1Lビーカー(現像液の溶解に使用,サンプラテック製,TPX,約800円)
  • 500mlメスフラスコ(停止液と定着液の調製に使用,ニッコー・ハンセン製,TPX,約2000円)
  • スポイト(100均で調達)
  • じょうご(100均で調達)
  • 遮光瓶500ml×4(瑞穂化成工業製,約200円)
  • 500ml計量カップ×4(100均で調達)
  • 温度計(家にあったので0円,新品でも1000円ぐらい)

合わせて4000円程度ですが、この辺は好きに調達していただければと思います。停止液が原液を20倍に希釈する必要があるのでメスフラスコも用意しましたが、過剰だった気がします。*2計量カップは現像時に各種液体を現像タンクに注ぐのに使いました。現像タンクの必要液量(今回は290ml)より多ければ何でも良いです。

薬品系

最低限必要なのはこのへんになると思います。合わせて4000円程度で、思っていたより安かったです。停止液を富士酢酸にすれば、更に1500円ぐらいは浮きます。停止液だけILFORD製なのは酢酸の匂いがあまり好きでないからです。それを言うと、スーパーフジフィックスも酢酸臭がするので使えなくなりますが、ILFORD製にすると無硬膜タイプになってしまうので妥協しました。*3

ということで2万円もあれば最低限の用品は揃うと思います。フィルムクリップなどは専用品でなくともなんとかなりますし、メスフラスコもいらんと思う*4ので、削ろうと思えばもっと削れます。

データ化

お店に投げずに自分でデータ化する場合、等倍撮影ができるマクロレンズとフィルムをレンズの鼻先に固定するアダプターが必要になってきます。

自分の場合

  • Ai AF Micro-Nikkor 60mm F2.8D (中古で2万円ちょっと)
  • Nikon ES-2 (約16000円)

を購入してます。

これでデータ化はできますがネガフィルムを撮影しているので、当然ながらそのままでは白黒が反転しています。なので写真編集ソフトでトーンカーブをいじって階調を反転させる必要があります。調整が面倒な方はSILKYPIXに反転ツールが搭載されていますので、そちらを使うと良いと思います。

ということでレンズとアダプターで3.5~4万円ほどでしょうか。レンズはAFレンズである必要は全くないので、ここも削ろうと思えば削れます。

現像作業

良質な記事がネット上にいくらでもあるので、それらを参考にして作業をしました。こんなところを見ている皆様もそちらをご参照ください。

不器用な自分としてはダークバッグ内で現像タンクにフィルムを詰める作業が鬼門になると思われましたが、パターソンのタンクは巻き込みが簡単なので、ギリなんとかなりました。

www.youtube.com

出来栄えはともかくとして、とりあえず現像自体はできました。感動よりかは失敗しなかった安堵のほうがデカかったです。

作例とか

せっかくなのでデータ化したフィルムを掲載しておきます。先に断っておきますが、ほぼ全て九州の写真になります。

①豊後豊岡

別府の近くにある駅です。

昔は有人駅でしたが、今は簡易委託駅になっています。合理化ですね。

見ての通り木造駅舎です。青春18きっぷのポスターのロケ地になったこともあります。

列車を待つこの席は、海を眺める特等席でもありました。
↑はその時のキャッチコピーです。

別府から10分程度なので観光ついでに来れますよ。

田主丸駅

久留米の東にある田主丸駅です。

こう切り取って写すと、なんの施設なのか一切分からなくなりますね。

カッパの部分はカフェになっています。コーヒーとカッパドッグを頂きました。

ホーム側もしっかりカッパです。

www.tanushimaru.net

こういった伝承があるみたいです。暴れ川としても知られる筑後川の流域なので水関係の信仰が残るのは自分でも何となく想像がつきます。大正時代には両筑軌道という鉄道会社があり、田主丸から秋月までの路線を持っていましたが、筑後川に掛かる木橋が洪水で流出しています。あの有名な朝倉軌道に買収された会社でもあります。

このまま進めば、日田、由布院を経由して大分まで行けます。

田川市石炭・歴史博物館

展示の一環として往時の炭鉱住宅の展示があるのですが、その中に住んでいる方が名古屋港でお会いした彼らとよく似ています。

nit-photo-atochi.hatenablog.com

脈を取ったわけではないですが生きてると思います。

奥様も黙々と家事をこなしています。

少なくとも私よりかは生きた目をしております。

住宅にお邪魔すると、ご主人が挨拶をしてくれるだけでなく、一緒に一杯飲まないかとのお誘いまで頂けます。(念の為書いておきますが、精神的に追い詰められて、ついに幻聴が聞こえるようになってきたわけではないです。本当に喋ります)

通りがかった人には別け隔てなく声をかけているので、自分より一日の発言量は確実に多いでしょうね。

象徴的な遺構としては竪坑櫓や二本煙突があります。

炭鉱が現役だったことは大きく賑わったんでしょうね…。

筑豊本線の末端ではキハ40が頑張っていました。

④門司・下関周辺

門司港駅です。

本線としての格を感じます。

 言うまでもなく、門司港駅はかつての門司駅で、九州の玄関であった。山陽本線の終着駅下関に着いた旅客は鉄道連絡船で海峡を渡り、九州への第一歩の感慨をかみしめつつ門司駅から九州各方面への列車に乗ったのである。その逆に、本州へ渡る人たちは、この駅で九州に別れを告げ、青雲の志と不安を抱きながら連絡船に乗った。
 門司は九州の鉄道網の要でもあって、「門司鉄道管理局」(門鉄)が国鉄九州全線を管理した。門鉄局長は、いわば九州支社長であった。

(駅は見ている,宮脇俊三,1997)

せっかくなので門司港レトロ観光線に乗って関門海峡を目指します。

分かる人には分かる階段です。

関門人道トンネルに突入します。

トンネル内はV字に勾配がついているので、キャブ車のスーパーカブとはいえ、
押すのは結構きついのではと思ってしまいます。

肝心の県境の部分が人多すぎで撮れなかったので昔の写真で誤魔化しておきます。

脱出しました。

歩いて壇ノ浦PAに来ました。建物は建て変わっていると思いますが、
例のレポートの場所です。

実は対岸のめかりPAも徒歩で行けます。

唐戸市場にも寄りましたが、時間が遅すぎました。

夜のほうが雰囲気が出ます。

私でもとりあえずはできたので、皆様もできると思います。時が経つほどフィルムも薬品も値上がっていくのでご興味が少しでもあればお早めに。

本年もよろしくお願いいたします。

*1:フィルムピッカーは祖父の遺品、フィルムクリップは中学生の頃に買ったもの

*2:ガラス製は割るのが怖いのでプラスチック製で用意しています。ビーカーの目盛よりはマシでしょうが、標線は目安になってしまうので中途半端ですね。

*3:なんかそれっぽいことを書いていますが、硬膜と無硬膜の違いはよくわかってないです。自分の絶望的な手先と注意力を勘案してこうなりました。

*4:停止液の濃度が若干ブレるが、停止液は現像を止められれば良いので大きく影響はないかと思われます。極論、水道水でも良いはず。